憲法
行政書士試験 2025年度 問題4
取材・報道の自由に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当でないものはどれか。
1 公正な刑事裁判の実現を保障するために、報道機関の取材活動によって得られたものが証拠として必要と認められるような場合には、取材の自由がある程度の制約をこうむることとなってもやむを得ない。
2 報道機関の取材の手段・方法が一般の刑罰法令に触れなくても、取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しく蹂躪する等、法秩序全体の精神に照らし社会観念上是認できない態様である場合には、正当な取材活動の範囲を逸脱する。
3 不法行為の成立を前提としない反論権は、特に公的事項に関する批判的記事の掲載をちゅうちょさせ、憲法が保障する表現の自由を間接的に侵す危険につながるおそれも多分に存し、当然に認められるものではない。
4 報道の公共性、報道のための取材の自由に対する配慮に基づき、司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ法廷におけるメモの採取を許可したとしても、法の下の平等には反しない。
5 報道関係者の取材源は、それがみだりに開示されると将来の自由で円滑な取材活動に一定の支障は生じうるが、公正な裁判の実現のためには取材源を明らかにする必要があり、民事訴訟法上の証言拒絶が認められうる職業の秘密には該当しない。
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1 × 公正な刑事裁判の実現を保障するために、報道機関の取材活動によって得られたものが証拠として必要と認められるような場合には、取材の自由がある程度の制約をこうむることとなってもやむを得ない。 答え
最大決昭和44年11月26日は、公正な刑事裁判の実現のため証拠として必要な場合、取材の自由の制約もやむを得ないとする。ただし、報道の自由の不利益と裁判の必要性を比較衡量すべきという例外条件を設けた。
2 × 報道機関の取材の手段・方法が一般の刑罰法令に触れなくても、取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しく蹂躪する等、法秩序全体の精神に照らし社会観念上是認できない態様である場合には、正当な取材活動の範囲を逸脱する。 答え
最決昭和53年5月31日は、取材方法が刑罰法令に触れずとも、取材対象者の人格の尊厳を著しく蹂躪するなど社会観念上是認できない態様である場合は、正当な取材活動の範囲を逸脱し違法性を阻却しないとした。
3 × 不法行為の成立を前提としない反論権は、特に公的事項に関する批判的記事の掲載をちゅうちょさせ、憲法が保障する表現の自由を間接的に侵す危険につながるおそれも多分に存し、当然に認められるものではない。 答え
最判昭和62年4月24日(サンケイ新聞事件)は、不法行為の成立を前提としない反論権の制度化は表現の自由を間接的に侵す危険があるため、憲法21条から当然に導き出されるものではないと判示しており正しい。
4 × 報道の公共性、報道のための取材の自由に対する配慮に基づき、司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ法廷におけるメモの採取を許可したとしても、法の下の平等には反しない。 答え
最判平成元年3月8日は、報道の公共性や取材の自由への配慮から、司法記者クラブ所属の記者にのみ法廷内でのメモ採取を許可することは合理的な区別であり、憲法14条1項の法の下の平等に反しないとした。
5 ○ 報道関係者の取材源は、それがみだりに開示されると将来の自由で円滑な取材活動に一定の支障は生じうるが、公正な裁判の実現のためには取材源を明らかにする必要があり、民事訴訟法上の証言拒絶が認められうる職業の秘密には該当しない。