国家賠償法の過去問
全 15 問
2025年度
2025年度 全問 →問題 20
国家賠償法 1 条に関する次のア〜エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。 ア 国家賠償法 1 条は「公権力の行使」によって生じた損害に適用されるが、ここにいう「公権力の行使」は、行政事件訴訟法において抗告訴訟の対象を表す「公権力の行使」と同じ意味であるから、国会議員が行う立法行為は、この概念には含まれないとするのが判例である。 イ 国家賠償法 1 条は「公権力の行使」によって生じた損害に適用されるが、行政指導や情報提供などの非権力的行政作用も、ここにいう「公権力の行使」に含まれうるとするのが判例である。 ウ 国家賠償法 1 条による賠償責任を認めるには、加害公務員が「職務を行うについて」他人に損害を与えていることが必要であり、公務員が職務執行の意思をもたずに私的な目的のためになした違法行為については、その外形のいかんにかかわらず、行政主体の賠償責任は成立しないとするのが判例である。 エ 国家賠償法 1 条による賠償責任を認めるには、加害公務員が職務上尽くすべき注意義務に違反していることが必要であるが、公務員が法律解釈を誤って違法行為を行ったとしても、それにつき異なる見解が対立し、そのいずれについても相当の根拠が認められる場合には、行政主体の賠償責任は成立しないとするのが判例である。
問題 21
国家賠償法に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。 (注) * 失火ノ責任ニ関スル法律
2024年度
2024年度 全問 →問題 20
国家賠償に関する次のア〜エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、その正誤を正しく示す組合せはどれか。 ア 教科用図書の検定にあたり文部大臣(当時)が指摘する検定意見は、すべて、検 定の合否に直接の影響を及ぼすものではなく、文部大臣の助言、指導の性質を有す るものにすぎないから、これを付することは、教科書の執筆者または出版社がその 意に反してこれに服さざるを得なくなるなどの特段の事情のない限り、原則とし て、国家賠償法上違法とならない。 イ 政府が物価の安定等の政策目標を実現するためにとるべき具体的な措置について の判断を誤り、ないしはその措置に適切を欠いたため当該政策目標を達成できな かった場合、法律上の義務違反ないし違法行為として、国家賠償法上の損害賠償責 任の問題が生ずる。 ウ 町立中学校の生徒が、放課後に課外のクラブ活動中の運動部員から顔面を殴打さ れたことにより失明した場合において、当該事故の発生する危険性を具体的に予見 することが可能であるような特段の事情のない限り、顧問の教諭が当該クラブ活動 に立ち会っていなかったとしても、当該事故の発生につき当該教諭に過失があると はいえない。 エ 市内の河川について市が法律上の管理権をもたない場合でも、当該市が地域住民 の要望にこたえて都市排水路の機能の維持及び都市水害の防止など地方公共の目的 を達成するために河川の改修工事をして、これを事実上管理することになったとき は、当該市は、当該河川の管理につき、国家賠償法 2 条 1 項の責任を負う公共団体 に当たる。
問題 21
国家賠償法 1 条に基づく責任に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
2023年度
2023年度 全問 →問題 20
道路をめぐる国家賠償に関する最高裁判所の判決について説明する次の記述のう ち、妥当なものはどれか。
問題 21
問題21 次の文章は、国家賠償法 1 条 2 項に基づく求償権の性質が問われた事件におい て、最高裁判所が下した判決に付された補足意見のうち、同条 1 項の責任の性質に 関して述べられた部分の一部である(文章は、文意を損ねない範囲で若干修正して いる) 。空欄 ア 〜 エ に当てはまる語句の組合せとして、正しいものはどれか。 国家賠償法 1 条 1 項の性質については ア 説と イ 説が存在する。両説を区別す る実益は、加害公務員又は加害行為が特定できない場合や加害公務員に ウ がない 場合に、 ア 説では国家賠償責任が生じ得ないが イ 説では生じ得る点に求められ ていた。しかし、最一小判昭和 57 年 4 月 1 日民集 36 巻 4 号 519 頁は、 ア 説か イ 説かを明示することなく、「国又は公共団体の公務員による一連の職務上の行為 の過程において他人に被害を生ぜしめた場合において、それが具体的にどの公務員の どのような違法行為によるものであるかを特定することができなくても、右の一連の 行為のうちのいずれかに行為者の故意又は過失による違法行為があったのでなければ 右の被害が生ずることはなかったであろうと認められ、かつ、それがどの行為である にせよこれによる被害につき行為者の属する国又は公共団体が法律上賠償の責任を負 うべき関係が存在するときは、国又は公共団体は損害賠償責任を免れることができな い」と判示している。さらに、公務員の過失を エ 過失と捉える裁判例が支配的と なっており、個々の公務員の ウ を問題にする必要はないと思われる。したがっ て、 ア 説、 イ 説は、解釈論上の道具概念としての意義をほとんど失っていると いってよい。 (最三小判令和 2 年 7 月 14 日民集 74 巻 4 号 1305 頁、宇賀克也裁判官補足意見)
2022年度
2022年度 全問 →問題 20
国家賠償法 1 条 1 項に基づく国家賠償責任に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
問題 21
国家賠償法 2 条 1 項に基づく国家賠償責任に関する次のア〜エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。
問題 43
次の文章の空欄[ア]〜[エ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢( 1 〜20)から 選びなさい。 国家補償制度は、国家賠償と損失補償によって構成されるが、両者のいずれによっ ても救済されない問題が存在する。公務員の [ア] の違法行為による被害は、国家賠 償法の救済の対象とはならず、他方、憲法 29 条 3 項によって求められる損失補償 は、 [イ] 以外の権利利益についての被害には及ばないと考えられるからである。こ の救済の空白地帯は「国家補償の谷間」と呼ばれている。 「国家補償の谷間」の典型事例は予防接種による副反応被害である。この事例を損 失補償により救済するアプローチは、 [イ] よりも重要な利益である生命・身体の利 益は、当然に憲法 29 条 3 項に規定する損失補償の対象となるとする [ウ] 解釈によっ て、救済を図ろうとする。 これに対して、国家賠償による救済のアプローチをとる場合、予防接種の性質上、 予診を尽くしたとしても、接種を受けることが適切でない者(禁忌者)を完全に見分 けることが困難であり、医師による予診を初めとする公務員の行為は [ア] とされる 可能性が残る。この点について、最高裁判所昭和 51 年 9 月 30 日判決は、予防接種に より重篤な副反応が発生した場合に、担当医師がこうした結果を予見しえたのに、過 誤により予見しなかったものと [エ] することで、実質的に、自らが [ア] であること の立証責任を国側に負わせることで救済を図った。
2021年度
2021年度 全問 →問題 20
問題20 次の文章は、消防署の職員が出火の残り火の点検を怠ったことに起因して再出火 した場合において、それにより損害を被ったと主張する者から提起された国家賠償 請求訴訟にかかる最高裁判所の判決の一節である。空欄 ア 〜 オ に当てはまる 語句の組合せとして、妥当なものはどれか。 失火責任法は、失火者の責任条件について民法 709 条 ア を規定したものである から、国家賠償法 4 条の「民法」に イ と解するのが相当である。また、失火責任 法の趣旨にかんがみても、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体 の損害賠償責任についてのみ同法の適用を ウ 合理的理由も存しない。したがっ て、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任につい ては、国家賠償法 4 条により失火責任法が エ され、当該公務員に重大な過失のあ ることを オ ものといわなければならない。 (最二小判昭和 53 年 7 月 17 日民集 32 巻 5 号 1000 頁)
問題 21
規制権限の不行使(不作為)を理由とする国家賠償請求に関する次のア〜エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。 ア 石綿製品の製造等を行う工場または作業場の労働者が石綿の粉じんにばく露した ことにつき、一定の時点以降、労働大臣(当時)が労働基準法に基づく省令制定権 限を行使して罰則をもって上記の工場等に局所排気装置を設置することを義務付け なかったことは、国家賠償法 1 条 1 項の適用上違法である。 イ 鉱山労働者が石炭等の粉じんを吸い込んでじん肺による健康被害を受けたことに つき、一定の時点以降、通商産業大臣(当時)が鉱山保安法に基づき粉じん発生防 止策の権限を行使しなかったことは、国家賠償法 1 条 1 項の適用上違法である。 ウ 宅地建物取引業法に基づき免許を更新された業者が不正行為により個々の取引関 係者に対して被害を負わせたことにつき、免許権者である知事が事前に更新を拒否 しなかったことは、当該被害者との関係において国家賠償法 1 条 1 項の適用上違法 である。 エ いわゆる水俣病による健康被害につき、一定の時点以降、健康被害の拡大防止の ために、水質規制に関する当時の法律に基づき指定水域の指定等の規制権限を国が 行使しなかったことは、国家賠償法 1 条 1 項の適用上違法とはならない。
問題 26
公立学校に関する次のア〜エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当な ものの組合せはどれか。 ア 公立高等専門学校の校長が、必修科目を履修しない学生を原級留置処分または退 学処分にするに際しては、その判断は校長の合理的な教育的裁量に委ねられる。 イ 公立中学校の校庭が一般に開放され、校庭を利用していた住民が負傷したとして も、当該住民は本来の利用者とはいえないことから、その設置管理者が国家賠償法 上の責任を負うことはない。 ウ 公立小学校を廃止する条例について、当該条例は一般的規範を定めるにすぎない ものの、保護者には特定の小学校で教育を受けさせる権利が認められることから、 その処分性が肯定される。 エ 市が設置する中学校の教員が起こした体罰事故について、当該教員の給与を負担 する県が賠償金を被害者に支払った場合、県は国家賠償法に基づき、賠償金の全額 を市に求償することができる。
2020年度
2020年度 全問 →問題 20
国家賠償法に関する次のア〜エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正し いものの組合せはどれか。 ア 同一の行政主体に属する複数の公務員のみによって一連の職務上の行為が行わ れ、その一連の過程で他人に損害が生じた場合、損害の直接の原因となった公務員 の違法行為が特定できないときには、当該行政主体は国家賠償法 1 条 1 項に基づく 損害賠償責任を負うことはない。 イ 税務署長が行った所得税の更正処分が、所得金額を過大に認定したものであると して取消訴訟で取り消されたとしても、当該税務署長が更正処分をするに際して職 務上通常尽くすべき注意義務を尽くしていた場合は、当該更正処分に国家賠償法 1 条 1 項にいう違法があったとはされない。 ウ 国家賠償法 1 条 1 項に基づく賠償責任は、国または公共団体が負うのであって、 公務員個人が負うものではないから、公務員個人を被告とする賠償請求の訴えは不 適法として却下される。 エ 国家賠償法 1 条 1 項が定める「公務員が、その職務を行うについて」という要件 については、公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合に限らず、自己の 利をはかる意図をもってする場合であっても、客観的に職務執行の外形をそなえる 行為をしたときは、この要件に該当する。
問題 21
国家賠償法に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものは どれか。 1 宅地建物取引業法は、宅地建物取引業者の不正な行為によって個々の取引関係者 が被る具体的な損害の防止、救済を制度の直接の目的とするものであるから、不正 な行為をした業者に対する行政庁の監督権限の不行使は、被害者との関係において も、直ちに国家賠償法 1 条 1 項の適用上違法の評価を受ける。 2 建築基準法に基づく指定を受けた民間の指定確認検査機関による建築確認は、そ れに関する事務が行政庁の監督下において行われているものではないため、国家賠 償法 1 条 1 項の「公権力の行使」に当たらない。 3 公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法、または同法を引き継いだ公害健 康被害補償法*に基づいて水俣病患者の認定申請をした者が水俣病の認定処分を受 けた場合でも、申請処理の遅延により相当の期間内に応答がなかったという事情が あれば、当該遅延は、直ちに国家賠償法 1 条 1 項の適用上違法の評価を受ける。 4 裁判官がおこなう争訟の裁判については、その裁判の内容に上訴等の訴訟法上の 救済方法で是正されるべき瑕疵が存在し、当該裁判官が付与された権限の趣旨に明 らかに背いてこれを行使したと認め得るような事情がみられたとしても、国家賠償 法 1 条 1 項の適用上違法の評価を受けることはない。 5 検察官が公訴を提起した裁判において、無罪の判決が確定したとしても、そのこ とから直ちに、起訴前の逮捕や勾留とその後の公訴の提起などが国家賠償法 1 条 1 項の適用上違法の評価を受けるということにはならない。 (注) * 公害健康被害の補償等に関する法律
問題 43
次の文章は、普通地方公共団体の議会の議員に対する懲罰等が違法であるとし て、当該懲罰を受けた議員が提起した国家賠償請求訴訟に関する最高裁判所の判決 。空欄 ア 〜 エ に当てはまる語句を、枠内 の一節である(一部修正してある) の選択肢( 1 〜20)から選びなさい。 本件は、被上告人(議員)が、議会運営委員会が厳重注意処分の決定をし、市議会 議長がこれを公表したこと(以下、これらの行為を併せて「本件措置等」という。) によって、その名誉を毀損され、精神的損害を被ったとして、上告人(市)に対し、 国家賠償法 1 条 1 項に基づき損害賠償を求めるものである。これは、 [ア] の侵害を 理由とする国家賠償請求であり、その性質上、法令の適用による終局的な解決に適し ないものとはいえないから、本件訴えは、裁判所法 3 条 1 項にいう [イ] に当たり、 適法というべきである。 もっとも、被上告人の請求は、本件視察旅行を正当な理由なく欠席したことを理由 とする本件措置等が国家賠償法 1 条 1 項の適用上違法であることを前提とするもので ある。 普通地方公共団体の議会は、憲法の定める [ウ] に基づき自律的な法規範を有する ものであり、議会の議員に対する懲罰その他の措置については、 [エ] の問題にとど まる限り、その自律的な判断に委ねるのが適当である。そして、このことは、上記の 措置が [ア] を侵害することを理由とする国家賠償請求の当否を判断する場合であっ ても、異なることはないというべきである。 したがって、普通地方公共団体の議会の議員に対する懲罰その他の措置が当該議員 の [ア] を侵害することを理由とする国家賠償請求の当否を判断するに当たっては、 当該措置が [エ] の問題にとどまる限り、議会の自律的な判断を尊重し、これを前提 として請求の当否を判断すべきものと解するのが相当である。 (最一小判平成 31 年 2 月 14 日民集 73 巻 2 号 123 頁) 1 公法上の地位 2 一般市民法秩序 3 直接民主制 4 既得権 5 地方自治の本旨 6 知る権利 7 制度改革訴訟 8 行政立法 9 立法裁量 10 議会の内部規律 11 私法上の権利利益 12 統治行為 13 公法上の当事者訴訟 14 道州制 15 権力分立原理 16 当不当 17 自己情報コントロール権 18 法律上の争訟 19 抗告訴訟 20 司法権