憲法の過去問
全 33 問
2025年度
2025年度 全問 →問題 3
法の下の平等に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
問題 4
取材・報道の自由に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当でないものはどれか。
問題 5
国会の召集に関する次の文章の空欄 ア 〜 エ に当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。 憲法は、国会について ア 制を採用し、内閣がその召集を実質的に決定する権限を有するものとした上で、52 条、53 条及び 54 条 1 項において、常会、 イ 会及び ウ 会の召集時期等について規定している。そのうち憲法 53 条は、前段において、内閣は、 イ 会召集決定をすることができると規定し、後段において、いずれかの議院の総議員の 4 分の 1 以上による イ 会召集要求があれば、内閣は、 イ 会召集決定をしなければならない旨を規定している。これは、国会と内閣との間における権限の分配という観点から、内閣が イ 会召集決定をすることとしつつ、これがされない場合においても、国会の ア を開始して国会による国政の根幹に関わる広範な権能の行使を可能とするため、各議院を組織する一定数以上の議員に対して イ 会召集要求をする権限を付与するとともに、この イ 会召集要求がされた場合には、内閣が イ 会召集決定をする義務を負うこととしたものと解されるのであって、個々の国会議員の イ 会召集要求に係る エ を保障したものとは解されない。 (最三小判令和 5 年 9 月 12 日民集 77 巻 6 号 1515 頁)
問題 6
内閣総理大臣に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
問題 7
法令の形式に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
問題 8
行政行為(処分)に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
2024年度
2024年度 全問 →問題 3
問題 3 人格権と夫婦同氏制に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例の趣旨に照ら し、妥当でないものはどれか。 1 氏名は、社会的にみれば、個人を他人から識別し特定する機能を有するものであ るが、同時に、その個人からみれば、人が個人として尊重される基礎であり、その 個人の人格の象徴であって、人格権の一内容を構成する。 2 氏は、婚姻及び家族に関する法制度の一部として、法律がその具体的な内容を規 律しているものであるから、氏に関する人格権の内容も、憲法の趣旨を踏まえつつ 定められる法制度をまって、初めて具体的に捉えられる。 3 家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位であるから、氏をその個人の属する集団 を想起させるものとして一つに定めることにも合理性があり、また氏が身分関係の 変動に伴って改められることがあり得ることは、その性質上予定されている。 4 現行の法制度の下における氏の性質等に鑑みると、婚姻の際に「氏の変更を強制 されない自由」が憲法上の権利として保障される人格権の一内容であるとはいえな い。 5 婚姻前に築いた個人の信用、評価、名誉感情等を婚姻後も維持する利益等は、憲 法上保障される人格権の一内容とはいえず、当該利益を婚姻及び家族に関する法制 度の在り方を検討する際に考慮するか否かは、専ら立法裁量の問題である。
問題 4
問題 4 インターネット上の検索サービスにおいて、ある人物Xの名前で検索をすると、 Xの過去の逮捕歴に関する記事等が表示される。Xは、この検索事業者に対して、 検索結果である URL 等の情報の削除を求める訴えを提起した。これに関する次の 記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当でないものはどれか。 1 個人のプライバシーに属する事実をみだりに公表されない利益は、法的保護の対 象となるというべきであり、過去の逮捕歴もこれに含まれる。 2 検索結果として提供される情報は、プログラムによって自動的に収集・整理・提 供されるものにすぎず、検索結果の提供は、検索事業者自身による表現行為とはい えない。 3 検索事業者による検索結果の提供は、公衆の情報発信や情報の入手を支援するも のとして、インターネット上の情報流通の基盤としての役割を果たしている。 4 当該事実を公表されない法的利益と、当該情報を検索結果として提供する理由に 関する諸事情を比較衡量した結果、前者が優越することが明らかな場合には、検索 事業者に対して URL 等の情報を当該検索結果から削除することを求めることがで きる。 5 過去の逮捕歴がプライバシーに含まれるとしても、児童買春のように、児童への 性的搾取・虐待として強い社会的非難の対象とされ、罰則で禁止されている行為 は、一定の期間の経過後も公共の利害に関する事柄でありうる。
問題 5
問題 5 教育に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当でないものはど れか。 1 義務教育は無償とするとの憲法の規定は、授業料不徴収を意味しており、それ以 外に、教科書、学用品その他教育に必要な一切の費用を無償としなければならない ことまでも定めたものと解することはできない。 2 教科書は執筆者の学術研究の結果の発表を目的とするものではなく、また、教科 書検定は検定基準に違反する場合に教科書の形態での研究結果の発表を制限するに すぎないので、教科書検定は学問の自由を保障した憲法の規定には違反しない。 3 公教育に関する国民全体の教育意思は、法律を通じて具体化されるべきものであ るから、公教育の内容・方法は専ら法律により定められ、教育行政機関も、法律の 授権に基づき、広くこれらについて決定権限を有する。 4 国民の教育を受ける権利を定める憲法規定の背後には、みずから学習することの できない子どもは、その学習要求を充足するための教育を自己に施すことを大人一 般に対して要求する権利を有するとの観念が存在している。 5 普通教育では、児童生徒に十分な批判能力がなく、また、全国的に一定の教育水 準を確保すべき強い要請があること等からすれば、教師に完全な教授の自由を認め ることはとうてい許されない。
問題 6
問題 6 選挙制度の形成に関する国会の裁量についての次の記述のうち、最高裁判所の判 例の趣旨に照らし、妥当でないものはどれか。 1 都道府県が歴史的にも政治的、経済的、社会的にも独自の意義と実体を有する単 位である以上、参議院の選挙区選出議員に都道府県代表的な意義を付与し、その枠 内で投票価値の平等の実現を図ることは、憲法上許容される。 2 小選挙区制は、死票を多く生む可能性があることは否定し難いが、死票はいかな る制度でも生ずるものであり、結局のところ選挙を通じて国民の総意を議席に反映 させる一つの合理的方法ということができる。 3 同時に行われる二つの選挙に同一の候補者が重複して立候補することを認めるか 否かは、国会が裁量により決定することができる事項であり、衆議院議員選挙で小 選挙区選挙と比例代表選挙との重複立候補を認める制度は憲法に違反しない。 4 政党を媒体として国民の政治意思を国政に反映させる名簿式比例代表制を採用す ることは国会の裁量に属し、名簿登載者個人には投票したいがその属する政党には 投票したくないという意思を認めない非拘束名簿式比例代表制もまた同様である。 5 参議院の比例代表選出議員について、政党が優先的に当選者となるべき候補者を 定めることができる特定枠制度は、選挙人の総意によって当選人が決定される点 で、選挙人が候補者個人を直接選択して投票する方式と異ならず、憲法に違反しな い。
問題 7
国会議員の地位・特権に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
問題 8
行政行為(処分)に関する次の記述のうち、法令の定めまたは最高裁判所の判例 に照らし、妥当なものはどれか。
2023年度
2023年度 全問 →問題 3
基本的人権の間接的、付随的な制約についての最高裁判所の判決に関する次のア 〜エの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。 ア 選挙における戸別訪問の禁止が、意見表明そのものの制約ではなく、意見表明の 手段方法のもたらす弊害の防止をねらいとして行われる場合、それは戸別訪問以外 の手段方法による意見表明の自由を制約するものではなく、単に手段方法の禁止に 伴う限度での間接的、付随的な制約にすぎない。 イ 芸術的価値のある文学作品について、そこに含まれる性描写が通常人の性的羞恥 心を害し、善良な性的道義観念に反することを理由に、その頒布が処罰される場 合、そこでの芸術的表現の自由への制約は、わいせつ物の規制に伴う間接的、付随 的な制約にすぎない。 ウ 裁判官が「積極的に政治運動をすること」の禁止が、意見表明そのものの制約で はなく、その行動のもたらす弊害の防止をねらいとして行われる場合、そこでの意 見表明の自由の制約は、単に行動の禁止に伴う限度での間接的、付随的な制約にす ぎない。 エ 刑事施設の被収容者に対する新聞閲読の自由の制限が、被収容者の知ることので きる思想内容そのものの制約ではなく、施設内の規律・秩序の維持をねらいとして 行われる場合、そこでの制約は、施設管理上必要な措置に伴う間接的、付随的な制 約にすぎない。
問題 4
国務請求権に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
問題 5
罷免・解職に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
問題 7
財政に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
問題 8
行政行為の瑕疵に関する次のア〜オの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、 妥当なものの組合せはどれか。 ア ある行政行為が違法である場合、仮にそれが別の行政行為として法の要件を満た していたとしても、これを後者の行為として扱うことは、新たな行政行為を行うに 等しいから当然に許されない。 イ 普通地方公共団体の長に対する解職請求を可とする投票結果が無効とされたとし ても、前任の長の解職が有効であることを前提として、当該解職が無効とされるま での間になされた後任の長の行政処分は、当然に無効となるものではない。 ウ 複数の行政行為が段階的な決定として行われる場合、先行行為が違法であるとし て、後行行為の取消訴訟において先行行為の当該違法を理由に取消しの請求を認め ることは、先行行為に対する取消訴訟の出訴期間の趣旨を没却することになるので 許されることはない。 エ 行政行為の瑕疵を理由とする取消しのうち、取消訴訟や行政上の不服申立てによ る争訟取消しの場合は、当該行政行為は行為時当初に遡って効力を失うが、職権取 消しの場合は、遡って効力を失うことはない。 オ 更正処分における理由の提示(理由附記)に不備の違法があり、審査請求を行っ た後、これに対する裁決において処分の具体的根拠が明らかにされたとしても、理 由の提示にかかる当該不備の瑕疵は治癒されない。
2022年度
2022年度 全問 →問題 3
表現の自由に関する次の判断基準が想定している事例として、妥当なものはどれ か。 公共の利害に関する事項について自由に批判、論評を行うことは、もとより表現の 自由の行使として尊重されるべきものであり、その対象が公務員の地位における行動 である場合には、右批判等により当該公務員の社会的評価が低下することがあって も、その目的が専ら公益を図るものであり、かつ、その前提としている事実が主要な 点において真実であることの証明があったときは、人身攻撃に及ぶなど論評としての 域を逸脱したものでない限り、名誉侵害の不法行為の違法性を欠くものというべきで ある。 (最一小判平成元年 12 月 21 日民集 43 巻 12 号 2252 頁)
問題 4
薬局を営むXは、インターネットを介した医薬品の通信販売を始めたが、法律は 一定の種類の医薬品の販売については、薬剤師が対面で情報の提供および薬学的知 見に基づく指導を行うことを求めている。そこでXは、この法律の規定が違憲であ り、この種の医薬品についてもネットで販売する権利が自らにあることを主張して 出訴した。この問題に関する最高裁判所の判決の趣旨として、妥当なものはどれ か。
問題 5
適正手続に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはど れか。
問題 6
内閣の権限に関する次の記述のうち、憲法の規定に照らし、妥当なものはどれ か。
問題 7
裁判の公開に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはど れか。
問題 8
公法上の権利の一身専属性に関する次の文章の空欄 A 〜 C に当てはまる文章の組合せとして、妥当なものはどれか。 最高裁判所昭和 42 年 5 月 24 日判決(いわゆる朝日訴訟判決)においては、生活保護を受給する地位は、一身専属のものであって相続の対象とはなりえず、その結果、原告の死亡と同時に当該訴訟は終了して、同人の相続人らが当該訴訟を承継し得る余地はないとされた。そして、この判決は、その前提として、 A 。 その後も公法上の権利の一身専属性が問題となる事例が散見されたが、労働者等のじん肺に係る労災保険給付を請求する権利については最高裁判所平成 29 年 4 月 6 日判決が、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律に基づく認定の申請がされた健康管理手当の受給権については最高裁判所平成 29 年 12 月 18 日判決が、それぞれ判断をしており、 B 。 なお、この健康管理手当の受給権の一身専属性について、最高裁判所平成 29 年 12 月 18 日判決では、受給権の性質が C 。 空欄 A ア 生活保護法の規定に基づき、要保護者等が国から生活保護を受けるのは、法的利益であって、保護受給権とも称すべきものであるとしている イ 生活保護法の規定に基づき、要保護者等が国から生活保護を受けるのは、国の恩恵ないし社会政策の実施に伴う反射的利益であるとしている 空欄 B ウ 両判決ともに、権利の一身専属性を認めて、相続人による訴訟承継を認めなかった エ 両判決ともに、権利の一身専属性を認めず、相続人による訴訟承継を認めた 空欄 C オ 社会保障的性質を有することが、一身専属性が認められない根拠の一つになるとの考え方が示されている カ 国家補償的性質を有することが、一身専属性が認められない根拠の一つになるとの考え方が示されている
2021年度
2021年度 全問 →問題 3
インフルエンザウイルス感染症まん延防止のため、政府の行政指導により集団的 な予防接種が実施されたところ、それに伴う重篤な副反応により死亡したXの遺族 が、国を相手取り損害賠償もしくは損失補償を請求する訴訟を提起した(予防接種 と副反応の因果関係は確認済み)場合に、これまで裁判例や学説において主張され た憲法解釈論の例として、妥当でないものはどれか。
問題 4
捜査とプライバシーに関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当 なものはどれか。
問題 5
地方公共団体がその土地を神社の敷地として無償で提供することの合憲性に関連 して、最高裁判所判決で考慮要素とされたものの例として、妥当でないものはどれ か。 (注) * 憲法 89 条 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持の ため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出 し、又はその利用に供してはならない。
問題 6
次の文章の空欄 ア ・ イ に当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはど れか。 憲法で、国会が国の「唯一の」立法機関であるとされるのは、憲法自身が定める例 外を除き、 ア 、かつ、 イ を意味すると解されている。
問題 8
法の一般原則に関わる最高裁判所の判決に関する次の記述のうち、妥当なものは どれか。
2020年度
2020年度 全問 →問題 3
次の文章の空欄 ア 〜 オ に当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはど れか。 未決勾留は、刑事訴訟法の規定に基づき、逃亡又は罪証隠滅の防止を目的として、 被疑者又は被告人の ア を監獄内に限定するものであつて、右の勾留により拘禁さ れた者は、その限度で イ 的行動の自由を制限されるのみならず、前記逃亡又は罪 証隠滅の防止の目的のために必要かつ ウ 的な範囲において、それ以外の行為の自 由をも制限されることを免れない・・・。また、監獄は、多数の被拘禁者を外部から エ して収容する施設であり、右施設内でこれらの者を集団として管理するにあた つては、内部における規律及び秩序を維持し、その正常な状態を保持する必要がある ・・・この面からその者の イ 的自由及びその他の行為の自由に一定の制限が から、 加えられることは、やむをえないところというべきである・・・被拘禁者の新聞紙、 図書等の閲読の自由を制限する場合・・・具体的事情のもとにおいて、その閲読を許 すことにより監獄内の規律及び秩序の維持上放置することのできない程度の障害が生 ずる相当の オ 性があると認められることが必要であり、かつ、・・・制限の程度 は、右の障害発生の防止のために必要かつ ウ 的な範囲にとどまるべきものと解す るのが相当である。 (最大判昭和 58 年 6 月 22 日民集第 37 巻 5 号 793 頁)
問題 4
表現の自由の規制に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
問題 6
衆議院の解散に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
問題 7
憲法訴訟における違憲性の主張適格が問題となった第三者没収に関する最高裁判 所判決*について、次のア〜オの記述のうち、法廷意見の見解として、正しいもの をすべて挙げた組合せはどれか。 ア 第三者の所有物の没収は、所有物を没収される第三者にも告知、弁解、防禦の機 会を与えることが必要であり、これなしに没収することは、適正な法律手続によら ないで財産権を侵害することになる。 イ かかる没収の言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であっ ても、それが被告人に対する附加刑である以上、没収の裁判の違憲を理由として上 告をすることができる。 ウ 被告人としても、その物の占有権を剥奪され、これを使用・収益できない状態に おかれ、所有権を剥奪された第三者から賠償請求権等を行使される危険に曝される 等、利害関係を有することが明らかであるから、上告により救済を求めることがで きるものと解すべきである。 エ 被告人自身は本件没収によって現実の具体的不利益を蒙ってはいないから、現実 の具体的不利益を蒙っていない被告人の申立に基づき没収の違憲性に判断を加える ことは、将来を予想した抽象的判断を下すものに外ならず、憲法 81 条が付与する 違憲審査権の範囲を逸脱する。 オ 刑事訴訟法では、被告人に対して言い渡される判決の直接の効力が被告人以外の 第三者に及ぶことは認められていない以上、本件の没収の裁判によって第三者の所 有権は侵害されていない。 (注) * 最大判昭和 37 年 11 月 28 日刑集 16 巻 11 号 1593 頁
問題 8
次の文章は、食中毒事故の原因食材を厚生大臣(当時)が公表したこと(以下 「本件公表」という。)について、その国家賠償責任が問われた訴訟の判決文であ る。この判決の内容に明らかに反しているものはどれか。 食中毒事故が起こった場合、その発生原因を特定して公表することに関して、直接 これを定めた法律の規定が存在しないのは原告の指摘するとおりである。しかし、行 政機関が私人に関する事実を公表したとしても、それは直接その私人の権利を制限し あるいはその私人に義務を課すものではないから、行政行為には当たらず、いわゆる 非権力的事実行為に該当し、その直接の根拠となる法律上の規定が存在しないからと いって、それだけで直ちに違法の問題が生じることはないというべきである。もちろ ん、その所管する事務とまったくかけ離れた事項について公表した場合には、それだ けで違法の問題が生じることも考えられるが、本件各報告の公表はそのような場合で はない。すなわち、厚生省は、公衆衛生行政・食品衛生行政を担い、その所管する食 品衛生法は、「飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、公衆衛生の向上及び増 進に寄与すること」を目的としている(法 1 条)のであるから、本件集団下痢症の原 因を究明する本件各報告の作成・公表は、厚生省及び厚生大臣の所管する事務の範囲 内に含まれることは明らかである。このように、厚生大臣がその所管する事務の範囲 内において行い、かつ、国民の権利を制限し、義務を課すことを目的としてなされた ものではなく、またそのような効果も存しない本件各報告の公表について、これを許 容する法律上の直接の根拠がないからといって、それだけで直ちに法治主義違反の違 法の問題が生じるとはいえない。 (大阪地裁平成 14 年 3 月 15 日判決・判例時報 1783 号 97 頁)